柔道整復学理論
-国家試験対策-
下肢
-骨折・大腿骨骨幹部骨折-

下肢-骨折-

大腿骨骨幹部骨折

周辺解剖①

〇大腿骨骨幹部骨折 

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
梨状筋

仙骨骨盤面

(仙骨前面外側)
大腿骨大転子
上双子筋 坐骨棘 内閉鎖筋の停止腱と合体して転子窩
内閉鎖筋 閉鎖膜と閉鎖孔外周の内側面 大腿骨転子窩
下双子筋 坐骨結節 内閉鎖筋の停止腱と合体して転子窩
外閉鎖筋 閉鎖膜と閉鎖孔外周の外側面 大腿骨転子窩
大腿方形筋 坐骨結節の外側縁 大腿骨の転子間稜

 

2021092711

周辺解剖②

〇大腿骨骨幹部骨折 

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
中殿筋 腸骨の殿筋面 大転子の前面

 

2021092712

周辺解剖③

〇大腿骨骨幹部骨折 

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
小殿筋 腸骨の殿筋面 大転子の前面

 

2021092713

周辺解剖④

〇大腿骨骨幹部骨折

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
大腿直筋

-下前腸骨棘

(垂直頭)

-寛骨臼上縁

(屈曲頭)
膝蓋靭帯を経由して脛骨粗面

 

2021092714

周辺解剖⑤

〇大腿骨骨幹部骨折

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
大腿二頭筋 長頭

坐骨結節

仙骨結節靭帯(半腱様筋の起始と合体)

腓骨頭の外側部

短頭 大腿骨粗線中央1/3部の外側唇
半腱様筋 坐骨結節 脛骨内側顆後面
半膜様筋

坐骨結節

仙骨結節靭帯

(大腿二頭筋長頭の起始と合体する)
脛骨粗面内側部

 

2021092715

周辺解剖⑥

〇大腿骨骨幹部骨折

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
大殿筋

仙骨後方の側方

腸骨殿筋面の後方

胸腰筋膜と仙結節靭帯

-上部線維

腸脛靭帯

-下部線維

殿筋粗面
大腿筋膜張筋 上前腸骨棘 腸脛靭帯
腸脛靭帯

大殿筋の停止腱部

大腿筋膜張筋下縁
脛骨外顆

 

2021092716

周辺解剖⑦

〇大腿骨骨幹部骨折

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
大腿直筋

-下前腸骨棘

(垂直頭)

-寛骨臼上縁

(屈曲頭)
膝蓋靭帯を経由して脛骨粗面
縫工筋 上前腸骨棘 鵞足

 

20210927000

周辺解剖⑧

〇大腿骨骨幹部骨折

記号 名称 起始/付着部 停止/付着部
恥骨筋 恥骨櫛

腿骨恥骨筋線

粗線の近位
短内転筋 恥骨下枝 粗線
長内転筋 恥骨上枝と恥骨結合 粗線
大内転筋

恥骨下枝

坐骨枝

坐骨結節

粗線の内側唇

大腿骨内側上顆
小内転筋 恥骨下枝 粗線の内側唇
薄筋 恥骨結合下方の恥骨下枝 脛骨粗面内側

 

20210927001

周辺解剖⑨

〇大腿骨骨幹部骨折

深部外旋6筋 梨状筋、大腿方形筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋
内旋筋

小殿筋(の三角筋に近い)

中殿筋

骨盤下腿筋

※2関節筋

縫工筋、薄筋、半腱様筋、半膜様筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋

大腿二頭筋

 

大腿骨骨幹部骨折

特徴・発生機序

特徴

発生機序は高い方で、20~50歳の青壮年に多発する。
(働きざかり、労災・交通事故)

軟部組織損傷も高度で、開放性骨折となることも少なくない。

□通常下肢は外旋し下肢の機能は廃絶される。

腫脹、出血

下肢短縮

異常膨隆
発生機序 直達 激突、礫傷、墜落、射創など(骨折、緩い斜骨折)
介達 屈曲力や捻転力の作用→骨折線は骨折、螺旋状骨折

 

大腿骨骨幹部骨折

分類

分類①

〇大腿骨骨幹部骨折

分類

□上1/3部の骨折(近位骨折)

□中1/3部の骨折(中央部骨折)

□下1/3部の骨折(遠位骨折)

中央部骨折がもっとも多い

 

分類②

〇大腿骨骨幹部骨折

  近位(中枢)骨片 遠位(末梢)骨片
上1/3部の骨折

屈曲(腸腰筋)、外旋(大殿筋、外旋筋群)

外転(中殿筋、小殿筋)

内上方に転位(内転筋群)

短縮(2関節筋群、骨盤大腿筋群)
中1/3部の骨折 屈曲、内転(中間位) 後上方に転位
下1/3部の骨折 ほぼ中間位(転位しない) 近位骨片の後方に転位(腓腹筋)、短縮(骨盤下腿筋)

 

大腿骨骨幹部骨折

治療法

注意点

〇大腿骨骨幹部骨折

注意点

□ショック症状や合併症に注意を払う

骨折では再転位の傾向が強い

□若年者ではわずかの屈曲転位や側方転位は十分に自家矯正される。

短縮転位は3cm未満にとどめないと外見上明らかな跛行を残す

小児では過成長を考慮する(=1cm程度の短縮転位を残し固定)

直達外力:骨癒合→悪 整復位保持→良

介達外力:骨癒合→良 整復位保持→悪

※時に第3骨片あり

 

屈曲整復法・牽引療法

〇大腿骨骨幹部骨折

屈曲整復法 骨折の場合に用いる
牽引療法 骨折、斜骨折など問わず、非観血的整復法ではもっとも有効

持続牽引

療法

半屈曲位牽引療法(骨折部位による牽引療法)

近位骨折(ブラウン架台を用いる)、中央部骨折、遠位骨折
その他

半屈曲位絆創膏牽引法

下肢の垂直牽引療法→小児の大腿骨骨折の治療

 

20210927002

予後・後遺症

〇大腿骨骨幹部骨折

予後 治療成績は一般的に不良
後遺症

大腿部の変形治癒

下肢短縮

膝関節拘縮

偽関節

遷延治癒

異所性骨化

大腿静脈損傷

 

大腿骨骨幹部骨折

近位1/3部骨折

発生機序・症状

〇大腿骨骨幹部骨折

発生機序

□この部位は太い転子部から細くなる骨幹部への移行部であるため比較的骨折しやすい。

直達外力によるものが多い

□小児では横骨折、成人では斜骨折や粉砕骨折がみられる。

□身体が捻転したことで生じる介達外力による骨折もみられる。
症状

転子部から患部にかけての著名な腫脹と下肢の短縮がみられる

□疼痛は著名で歩行不能

異常可動性軋轢音を伴う

 

骨片転位

〇大腿骨骨幹部骨折

骨片 転位 作用筋
近位骨片 屈曲位・外旋位 腸腰筋・外旋筋群
外転位 中・小殿筋
遠位骨片 内転位 内転筋群
短縮転位 ハムスト・大腿四頭筋

 

20210927003

治療・合併症・後遺症

〇大腿骨骨幹部骨折

治療

□全身状態やショック状態に十分注意が必要

□成人の場合、基本的には観血療法の適応となる(髄内釘固定法等)

□小児の場合や転位がきわめて小さいギブス固定による保存療法が適応となる(固定範囲は肋骨弓から足部まで)

□スピードトラックや鋼線による直達牽引も行われるが、ほとんどが手術までの短縮転位の防止
合併症・後遺症

□骨盤、股関節、膝関節などの損傷

出血性ショック

脂肪塞栓

変形治癒

下肢の短縮

偽関節および遷延治癒

□区画(コンパートメント)症候群

 

大腿骨骨幹部骨折

中央1/3部骨折

発生機序・症状

〇大腿骨骨幹部骨折

発生機序

□この部位は大腿骨の生理的彎曲の頂点部であり、また外力を受けやすい位置であることから、大腿骨骨折のうち最も発生頻度が高い。

直達外力でも介達外力でも発生し、直達外力の場合は横骨折や(緩い)斜骨折粉砕骨折となる。

□また、介達外力の場合は下肢が固定された状態で体幹の捻転力が加わるもので、螺旋状骨折となる。
症状

□大腿骨近位1/3部骨折と同様である。

骨折部が近位になれば近位1/3部骨折、遠位になれば遠位1/3部骨折と同様の転位をとる

 

骨片転位

〇大腿骨骨幹部骨折

骨片 転位 作用筋
近位骨片 屈曲位 腸腰筋
内転位 内転筋群
内外転中間位 内転筋群と外転筋群が拮抗
遠位骨片 短縮転位 骨盤下腿筋群
20210927004

治療

〇大腿骨骨幹部骨折

治療

□大腿骨近位1/3部骨折に準じる

観血療法の適応

保存療法は基本的に転位の軽度な骨折または小児の骨折の場合
小児の保存療法の留意点

□斜骨折は整復されても再転位の可能性が高い

□短縮転位は3cm未満に留めなければ脚長差を残す。

1cm程度の短縮、わずかな屈曲転位、骨の横径程度の側方転位自家矯正される

過成長を考慮して1cm程度の短縮を残したまま固定することがある。

骨折には屈曲整復法が用いられる
屈曲整復法

骨折に用いられる

①遠位骨片を骨折部で後方に屈曲

②屈曲した状態で遠位骨片を末梢に押圧し、近位骨片の遠位端にあわせる

③その状態から遠位骨片を伸展させる

 

治療・合併症・後遺症

〇大腿骨骨幹部骨折

治療 持続牽引療法

絆創膏スピードトラック、鋼線による直達牽引を行う。

□基本的に成人の場合、長期臥床や膝関節拘縮が必発のため、あまり実施されない。2歳までの乳幼児には、両股関節90°屈曲位、膝関節伸展位で上方に牽引するブライアント牽引法がある
絆創膏牽引では皮膚損傷などの合併症に注意が必要
10歳以下の症例に用いられる90°-90°牽引法がある
股関節と膝関節を90°として大腿骨長軸に牽引を加える方法
合併症・後遺症 大腿骨近位1/3部骨折と同様

 

大腿骨骨幹部骨折

遠位1/3部骨折

発生機序

〇大腿骨骨幹部骨折

発生機序 大腿骨骨幹部骨折のうち最も発生頻度が低く発生機序は中央部骨折と同様である。

 

骨片転位

〇大腿骨骨幹部骨折

骨片 転位 作用筋
近位骨片 中間位  
遠位骨片 短縮転位 骨盤下腿筋群
屈曲(後方回転) 腓腹筋

 

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治療・合併症・後遺症

〇大腿骨骨幹部骨折

治療

□大腿骨中央1/3部骨折に準じる

保存療法では整復・固定が非常に困難
合併症・後遺症

□大腿骨近位1/3部骨折と同様

□特に膝関節拘縮に注意が必要

 

参考・引用

文献・書籍

柔道整復学理論編改定第6版

②プロメテウス解剖学アトラス第2版解剖学総論/運動器

③標準整形外科学第13版

柔道整復師 イエロー・ノート 臨床編

⑤実践柔道整復学シリーズ 柔道整復学総論

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