柔道整復学理論
-国家試験対策-
上肢
-脱臼・肘関節脱臼
(前腕両骨脱臼)-

上肢-脱臼-

肘関節脱臼(前腕両骨脱臼)

周辺解剖①

〇肘関節脱臼

 

No 名称
1 上腕骨
2 橈骨
3 尺骨
4 関節包
5 内側側副靭帯
6 鈎状突起
7 外側側副靭帯

 

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周辺解剖②

〇肘関節脱臼

No 名称/起始停止
1 上腕二頭筋 長頭

甲骨

関節上結節

橈骨粗面

前腕筋膜
短頭 烏口突起
2 上腕三頭筋 長頭

甲骨

関節下結節
肘頭
外側頭

上腕骨体

外側面
内側頭

上腕骨体

後面

 

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周辺解剖③

〇肘関節脱臼

No 名称
1 尺骨神経
2 正中神経
3 橈骨神経

 

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特徴

〇肘関節脱臼

特徴

関節についで多い

②前腕両骨後方脱臼が大部分を占める

青壮年に好発、12歳以下では脱臼より骨折(顆上骨折)が多い

 

分類①

〇肘関節脱臼

  前腕両骨脱臼 単独脱臼(まれ) 肘内障
小分類

□後方脱臼
(約90%を占める)

□前方脱臼

□側方脱臼

 ・外側型

 ・内側型

□分散(開排)脱臼

 ・前後型

 ・側方型

□尺骨脱臼

□橈骨脱臼

 ・前方

 ・後方

 ・側方

橈骨単独脱臼

(尺骨骨折との

合併をモンテギアMonteggia骨折

という)

 

 

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分類②

〇肘関節脱臼

 

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分類③

〇肘関節脱臼

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前腕両骨脱臼

前腕両骨(肘関節)後方脱臼

◇多い◇

ヒューター線ヒューター三角

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

ヒューター線

肘関節伸展で後方からみて、内側上顆と外側上顆を結ぶ線

正常な場合、その線上に肘頭が位置する
ヒューター三角 肘関節屈曲で内側上顆・外側上顆・肘頭が形成する二等辺三角形

 

肘関節脱臼では、位置関係が乱れる

上腕骨顆上骨折ではヒューター線・三角の位置関係は乱れない。

2021091715

上肢長の計測

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

上肢長 峰外側端(または第7頚椎棘突起①´)~橈骨茎状突起
上腕長 峰外側端~上腕骨外側上顆
前腕長 上腕骨外側上顆~橈骨茎状突起 or 肘頭~尺骨茎状突起(③´)

 

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発生機序・症状

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

発生機序

□肘関節への過伸展の強制

□(肘伸展で手を衝き転倒、後方から強い衝撃)

□肘頭上縁が肘頭窩の上に衝突し、上腕骨遠位端を前に押し出す

関節包前面が断裂する
症状

□激しい疼痛・連続的な疼痛(持続性疼痛)、著明な腫脹

軽度屈曲位(30°-40°)に弾発性固定、自動運動不能

□肘頭は後方に突出、上腕三頭筋腱が索状に触れる

ヒューター三角の乱れ(肘頭高位)、ヒューター線が乱れる

□外見は上腕骨顆上骨折(伸展型)と類似する→鑑別が必要

 

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鑑別診断

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

  肘関節後方脱臼 上腕骨顆上骨折
好発年齢 青壮年男性 幼少年
腫脹 経時的に増大 早期に出現(肘関節周囲)
疼痛 持続性脱臼 局所性圧痛(マルゲーニュ痛)
機能障害

肘関節屈曲不能

(伸展はある程度可能)

ある程度運動可能

(疼痛性運動制限)
外見上変化

肘頭突出変形

上腕長不変

前腕長短縮

上腕遠位部の後方屈曲変形

上腕長短縮

前腕長不変
触診

肘頭の後方突出上腕三頭筋腱策状触知

ヒューター三角/ヒューター線肘頭高位

上腕遠位部~肘関節部の腫脹著名

ヒューター三角/ヒューター線正常位
他動運動 弾発性固定(抵抗) 異常可動性

 

合併症

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

骨折 内・外側上顆,外顆,尺骨鉤状突起,𣓤骨頭etc
神経損傷 尺骨,𣓤骨,正中神経
外傷性骨化性筋炎  
側副靭帯損傷 ・外側側副靭帯

 

整復法

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

□整復前に血管と神経の損傷の有無を確認

□整復は可及的速やかに行う

 

整復法-牽引法-

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

□牽引法(ロックウッド法)

 ・座位または背臥位の患者の上腕を助手が固定する

 ・術者は一方の手で手関節部を前腕回外位で把持し、他方の手で肘関節部(患部)を把持し、脱臼位の角度のまま前腕長軸末梢方向に徐々に牽引する

 ・次に牽引を持続して肘関節を屈曲させ、この際、肘関節部に当てた手指の一部で上腕遠位端部を前方から後方へ、残りの手指で肘頭部を後方から前方へ圧迫して整復する

 ・整復後は、軽く肘関節の屈曲、前腕の回内回外を試みて整復状態を確認する

 

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整復法-牽引直圧法-

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

□牽引直圧法

軽度屈曲位にて前腕軸末梢牽引を行いながら肘頭を末梢へ直圧して整復する効率的な手法であるが、整復時に尺骨鉤状突起が上腕骨関節面に衝突、摩擦するため二次損傷を引き起こす場合がある。

 

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固定法

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

範囲

上腕骨近位端からMP関節の手前まで金属副子を当てる
肢位 肘関節直角、前腕中間位で三角巾で提肘
期間 3週間、+1週間提肘

 

2021091720

後療法

〇前腕両骨(肘関節)後方脱臼

期間 1週目 2週目 3週目 4週目
冷罨法、冷シップ      
肘関節以外の自動運動      
等尺性運動      

肘関節他動運動

     

固定除去

     

肘関節自動運動開始・可動域運動

     

 

前腕両骨脱臼

前腕両骨(肘関節)前方脱臼

◇きわめてまれ◇

発生機序・症状

〇前腕両骨(肘関節)前方脱臼

発生機序

□肘関節屈曲位で転倒・落下し、前腕・肘頭を衝いて発生する。

□肘頭骨折を合併する
症状

肘関節前後径増大

前腕長の延長

□肘関節直角位に弾発性固定

 

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整復法・固定肢位

〇前腕両骨(肘関節)前方脱臼

整復法

□肘頭骨折を伴う脱臼の整復は以下のように行う

 ・座位または背臥位の患者の上腕を助手が固定

 ・術者は一方の手で手関節部を他方の手で患部肘関節部を把持し、脱臼肢位の角度から肘関節を徐々に伸展しながら前腕回外位に牽引する

 ・次に牽引を持続して前腕近位端部を前方から後下方へ圧迫しつつ肘関節を屈曲して整復する

 ・整復後は、軽く肘関節の屈伸、前腕の回内回外を試みて整復状態を確認する
固定肢位 □前腕回内回外中間位で固定

 

前腕両骨脱臼

前腕両骨(肘関節)側方脱臼

◇まれ◇

発生機序・症状

〇前腕両骨(肘関節)側方脱臼

  前腕両骨外側脱臼(まれ) 前腕両骨内側脱臼(まれ)
発生機序 前腕部に強力な内側からの力が加わり、肘関節の外転が強制されて発生 前腕両骨外側脱臼反対の機序で発生
症状

□靱帯の断裂

肘関節の横径は増大

内顆が突出

肘頭が上腕骨外顆の側方にあり、橈骨頭を触知
□変形は外側脱臼と反対

 

2021091722

整復法

〇前腕両骨(肘関節)側方脱臼

  前腕両骨外側脱臼(まれ) 前腕両骨内側脱臼(まれ)
整復法

□助手は上腕を固定し、術者は一方の手で手関節を把握し、他方の手で前腕近位端部を前方から把握して牽引

□尺骨近位端を下方に押し、内側に向けて力を加える

□前腕を回外しつつ上腕遠位端を回るように尺骨を押しながら肘関節を屈曲

□助手は上腕を固定し、術者は前腕遠位端を把握して、肘関節やや屈曲位のまま強力に末梢牽引を加える

□前腕近位端(尺骨)を下外側へ圧迫

□整復音がしたら肘を屈曲する
固定法 屈曲約90°で固定 前方脱臼と同様

 

前腕両骨脱臼

前腕両骨(肘関節)分散脱臼

◇きわめてまれ◇

転位・整復・固定

〇前腕両骨(肘関節)分散脱臼

  前後型 側方型
転位 尺骨は後方、橈骨は前方 尺骨は内方、橈骨は外方
整復

□助手は上腕を固定し、術者は前腕を強力に牽引

□一方の手で尺骨近位端部(肘頭)を後方から前下方に向かって圧迫

□尺骨が整復されたら橈骨近位端を下方に強く押しながら肘関節を最大屈曲し前腕の回内回外操作を行う

□助手は上腕を固定し、術者は前腕を強く牽引

□一方の手で前腕近位端部を下方に圧迫すると同時に内外両側から圧迫

□尺骨橈骨を整復し、肘を屈曲
固定

前腕回外位

循環障害が起こさない程度に屈曲

上腕中央部からMP関節手前まで固定

前腕回外位

肘関節屈曲90°で固定

 

参考・引用

文献・書籍

柔道整復学理論編改定第6版

②プロメテウス解剖学アトラス第2版解剖学総論/運動器

③標準整形外科学第13版

柔道整復師 イエロー・ノート 臨床編

⑤実践柔道整復学シリーズ 柔道整復学総論

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