柔道整復学理論
-国家試験対策-
総論
-評価・治療法1-

評価

評価の時期による分類

初期評価 観察評価の実態の把握柔道整復師の業務範囲か否かの判定
中間評価 現在の治療方針の確認、回復過程の観察
最終評価 治癒に到達できているか否かの判定、治療続行の必要性の判定、回復の限界に達したか否かの判定

 

初期評価
 
情報収集、問題点の抽出、治療の目標設定、治療プログラムの立案、治療効果の判定を行う
専門医への委託をすることも、初期評価に含まれる。
中間評価
 
身体機能情報、治療効果の判定を行う。
必要に応じて治療プログラムの修正を行うことも中間評価に含まれる。
最終評価 社会復帰をされるための評価を行う
損傷予防と健康増進を意識した、患者の自己管理についての指導も含まれる

 

評価を構成するもの…

問診、視診、触診、測定評価、動的な評価、検査評価など…

治療法

柔道整復師の治療法

〇整復

20210824001

〇固定

20210824002

〇後療法

20210824003

治療法

非観血的(保存)療法

薬物療法    
徒手整復法 骨折の徒手整復法 牽引直圧整復法、屈曲整復法、介達牽引整復法
脱臼の徒手整復法 槓杆作用(テコ),牽引作用(介達牽引)
牽引療法 介達牽引 絆創膏牽引、スピードトラック牽引、グリソン牽引、骨盤牽引など

 

絆創膏牽引

〇大腿骨など…

20210824005

スピードトラック牽引

〇大腿骨など…

20210824006

グリソン牽引/骨盤牽引

〇グリソン牽引:頸椎症など

〇骨盤牽引:腰痛,ヘルニアなど

20210824007

治療法

観血的(手術)療法

牽引療法 直達牽引 鋼線牽引法、ハロービルビック牽引、クラッチフィールド牽引など
関節の手術 関節切開、関節鏡視、滑膜切除術、関節固定術、軟骨移植術、人工骨頭置換術、人工関節形成術
腱の手術 腱縫合術、腱延長術、腱移行術、腱移植術
神経の手術 神経剥離術、神経縫合術、神経移行(移所)術、神経移植術
骨の手術 骨移植術、骨延長術、切断肢再接着術

 

キルシュナー鋼線牽引法

〇脛骨など

20210824008

ハローピルビック牽引

〇側彎、脊椎骨折など

20210824009

クラッチフィールド牽引

〇頭蓋骨など

20210824010

関節の手術

20210824011

腱の手術

神経の手術

20210824012

骨の手術

保存療法:感染がないという利点がある。

〇観血的療法:

感染に気をつける必要があるが、そのなかでも関節の手術最も無菌的な手術を必要とする

治療法

整復法

骨折の整復法①

〇整復の目的

骨折脱臼により、転位した骨や関節を元の状態にすること

・整復はできる限り早期に行われるのが望ましい

・外傷による一次損傷を確認した上で、二次損傷を起こさないよう整復を行う

・患者への疼痛の軽減や、全身状態への配慮が必要である

非観血的整復観血的整復がある

解剖学的な形態に整復することが望ましいが、患者の希望や全身状態などを考慮し整復の限界を見きわめる

骨折の整復法②

非観血的整復法 無麻酔下での非観血的整復法
観血的整復法  

 

骨折の整復法③

骨折脱臼の転位を生理的状態に復する手技

〇治療過程を良好にするため、早期施行が必要

柔道整復師は無麻酔下での非観血整復法を行う

骨折の整復法④-表まとめ-

骨折の整復 方法 適応 整復動作

非観血的整復法

徒手整復法

牽引直圧整復法

一般的な

骨折

①捻転転位を整復する

②末梢牽引を加える
(短縮転位、屈曲転位の矯正)

骨折端に側方から直圧を加える(側方転位の矯正)

屈曲整復法

短縮転位の整復困難な横骨折

①遠位骨片を利用し、骨膜、筋を弛緩させる

②屈曲し遠位骨片に牽引を加え、両骨折端の一端を接近させる

③続いて伸張整復完了
介達牽引整復法 皮膚や南部組織を介して牽引する方法
観血的整復法 直達牽引法 骨を介して牽引力を作用させる方法

 

骨片転位がない、またはごく軽度なもの(噛合骨折など)や乳幼児特有の自家矯正が期待できるものには整復は不必要である。

 

屈曲整復法の利点 整復操作を妨害している骨膜や筋の強い緊張を取り除き、整復を用意にする
牽引整復法の利点 牽引作用により骨折部の固定が図れる

 

骨折の整復法⑤-非観血的整復の要点-

早期の整復 〇時間が経過すると腫脹が増し整復が難しくなる、治癒への悪影響あり
可及的早期に整復する
整復の原則

〇整復は損傷前の状態に復することを原則に行う(特に関節内骨折)

解剖学的整復をめざす
整復が不必要な場合

骨転位が無いか、ごく軽度のもの

乳幼児で自家矯正が期待できるもの
整復が適応しない場合

〇徒手整復が不可能な骨折
粉砕骨折 ②筋力による著しい延長転位のある骨折
骨片間に軟部組織が介在している骨折複雑骨折etc…

〇整復位の保持が困難な骨折

〇関節内にあって解剖学的整復が要求される骨折(関節包骨折)
Ex.骨頭部剥離骨折

 

整復位を得るための一般原則

長骨骨折 長骨骨折の場合、近位骨片の長軸方向に十分な牽引力を加える
力の方向 骨片転位を生理的状態に復する方向に力を加える
軟部組織 軟部組織損傷を正確に把握し、損傷されていない組織を利用する
Ex.小児では骨膜損傷を把握し、損傷していない骨膜を利用する
骨片の合わせ 近位骨片の位置に応じて、遠位骨片を合わせる

 

整復法の分類-屈曲整復法-

〇横骨折

解剖学的に最も強く緊張している筋の起始と停止を近づけるように遠位骨片を屈曲し、筋の緊張を除去する。

20210824014

〇①

遠位骨片の屈曲を数秒間維持すると、筋緊張がさらに弛緩されそのままの肢位で近位骨片の長軸方向に牽引する。

20210824015

〇②

緩徐に牽引を続けると抵抗が少なくなり、遠位骨片が引き込まれる感触を得る。

20210824016

〇③

遠位骨片に直圧を加えると同時に伸展すると、骨折端が槓杆(テコ)の支点となり整復される。

 

20210824017

脱臼の整復法①

非観血的整復法

槓杆(てこ)作用

牽引作用→介達牽引法

脱臼非観血的整復を行い、整復されないものは観血的治療を行う

骨折が合併するときは脱臼を先に整復する
観血的整復法  

 

脱臼の整復法②

非観血的整復法

槓杆作用 脱臼発生機序の逆をたどり、骨の一部を支点として槓杆(テコ)を応用した方法

牽引作用

(介達牽引法)

筋緊張除去を重点に、二次的損傷を防ぐ方法

徐々に筋弛緩を行うので、患者に与える疼痛もすくない
観血的整復法 脱臼の整復障害因子がある場合

 

20210824018

非観血的整復法の要点

脱臼の整復は骨折と同様に緊急を要する

〇時間が経過すると整復が困難になる(可及的早期に整復する)

〇ときに脱臼骨頭の循環障害のため、骨頭壊死をもたらす危険がある。
脱臼解剖学的整復を必要とする 解剖学的に整復されなければ、おおきな機能障害を残存させる
※例外→鎖関節脱臼、胸鎖関節脱臼
整復が適応しない場合

ボタン穴機構にある場合

軟部組織や骨片が整復路に介在している場合

〇整復の支点となるべき骨部が骨折によって欠損している場合

 

整復位を得るための一般原則

筋弛緩を得る

〇末梢牽引を行い、筋緊張を取り除く

脱臼の発生した経路を逆に導く

関節包の裂孔部から整復する

 

(参考)骨折脱臼

非観血的療法の要点比較

  骨折 脱臼
非観血的整復の要点

早期の整復:時間が経過すると腫脹が増し、整復困難になり、治療に悪影響を与える

〇原則整復は損傷前の状態に回復すること :特に関節内骨折解剖学的整復が必要である

骨折と同様、脱臼整復も緊急を要する(初期の一度の整復で完了させる):骨頭壊死をもたらす危険がある

解剖学的整復を必要とする骨折と違い転位が許容されないため大きな機能障害が起こる
整復が適応しない場合

粉砕骨折

〇筋による著しい延長転位がある骨折

〇骨片間への軟部組織の介在がある骨折

〇整復位保持が困難な骨折

解剖学的整復が要求される関節内骨折

ボタン穴機構にある脱臼

軟部組織や骨片が整復路に介在している脱臼

〇整復の支点となる骨部が骨折により欠損している脱臼
整復位を得るための一般原則

長骨骨折では、近位骨片の長軸方向に十分牽引する

〇転位した骨片を生理的状態に復する方向に力を加える

〇受傷機序、損傷部の状態を的確に把握し、損傷されていない組織を利用する

近位骨片に遠位骨片を併せるように整復する

末梢牽引により筋緊張を取り除く

脱臼発生経路の逆に導く

関節包裂孔部から整復する

 

参考・引用

文献・書籍

柔道整復学理論編改定第6版

②プロメテウス解剖学アトラス第2版解剖学総論/運動器

③標準整形外科学第13版

柔道整復師 イエロー・ノート 臨床編

⑤実践柔道整復学シリーズ 柔道整復学総論

お気軽にお電話でご連絡ください
092-588-7850 092-588-7850
受付時間:10:00~20:00
        12:00~20:00(水曜日)
       (新患受付19:30まで)
        木曜日・土曜日13:00まで
      休み:日曜日・祝祭日
Access

施術院まで最寄り駅から歩いて4分の立地にて20時までの営業で残業上がりの方も安心

概要

店舗名 しし接骨院・ししフィット
住所 福岡福岡市博多区元町2-1-1 ガーデンライフ南福岡105
電話番号 092-588-7850
営業時間 10:00~15:00 15:00~20:00

■月・火・金曜日は10:00~20:00
■水曜日は12:00~20:00
■土・日曜日は10:00~15:00
定休日 ■木曜日
■祝祭日は不定休
※院内掲示およびウェブ・SNS等でご案内します。
最寄り 福岡駅より徒歩で約4分
雑餉隈駅より徒歩で約7分
駐車場 近隣の有料駐車場(コインパーキング)をご利用下さい。
後日または当日に領収書を提出頂ければ最大¥200/1日をお支払いたします。
ご不明な点はスタッフへお声かけ頂ければ幸いです。

アクセス

施術院までの通院のしやすさが、長期的に通院して怪我の再発の心配がない未来に到達するために大切な要項の一つです。特に足にお怪我を抱えた方などは、歩くこともお辛いことが想定されるため、そのご負担軽減を目指して駅近の立地をお選びいたしました。
Contact

お問い合わせ

RELATED

関連記事