柔道整復学理論
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総論
-筋の損傷1-

筋の損傷

筋の形態と機能

筋の構造

a 筋頭

筋肉の体幹(正中)に近い部位、四肢では近位の部位

起始(固点)
b 筋尾

筋肉の体幹(正中)から遠い部位、筋頭とは反対側

停止(動点)
c 筋腹 中央の膨らんでいる部位

 

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1

2 筋膜
3 筋周膜
4 筋線維
5 筋内膜
6 筋原線維

 

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1

筋細胞  
2 ミトコンドリア  
3 筋原線維  
4 衛星細胞(サテライトセル) 筋修復に関与
5 筋内膜  

 

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筋の補助装置

a 筋膜 筋を包む結合組織の膜でほかの筋群を隔てる。浅筋膜、深筋膜
b 筋支帯

四肢の遠位部に存在し、その部を走行する腱の浮き上がりを防止する

屈筋支帯、伸筋支帯
c 滑液包 筋や腱が骨などと接触する部位に摩擦防止のためにある小嚢
1 伸筋支帯
2 屈筋支帯
3 上伸筋支帯
4 下伸筋支帯
5 上腓骨筋支帯
6 下腓骨筋支帯

 

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d

筋滑車 腱が走行の方向を変えるところにある装置

e

腱弓 筋の起始あるいは付着部が弓状の腱索となり、その凹下側を血管、神経などが通るもの
f 種子骨 腱中に存在する小骨で、腱と関節の摩擦を防止

 

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筋の脈管および神経

筋の血管

神経と一緒に進入する。

血管は発達し、毛細血管網を形成する。
筋の神経

血管とともに進入す
(筋上膜に入り、筋周膜で分かれ、筋内膜へ進入し、それぞれの筋線維に到達する)

運動神経線維、感覚神経線維、自律神経節後線維
運動神経線維 骨格筋に神経筋接合部で化学物質により情報伝達する。
感覚神経線維 筋紡錘などの受容器からの情報を中枢へ伝達する
自律神経線維 筋緊張や血管の調整などに関わる

 

筋線維の種類

赤筋(せっきん)

収縮速度が遅く、ミトコンドリアが酸素を使って産生するATPを主に使う

中間筋

(ちゅうかんきん)
赤筋と白筋の中間型で、収縮速度が速く、ミトコンドリアが産生するATPとグルコースが分解され乳酸(解糖)になるときにできるATPの両方を使う

白筋

(はっきん)

収縮速度が速く、解糖でできたATPを主に使う。

ミオグロビンが少なく解糖の原資であるグリコーゲンを多く含んでいる。

筋線維も太く、発生する力が大きい。早く疲労する。

 

筋の損傷

筋損傷の概説

直達外力

打撲
打撲により、筋が損傷し出血をおこした場合を、挫傷(きんざしょう)
介達外力 肉ばなれ,筋断裂
肉ばなれにより、筋が損傷し出血をおこした場合を、挫傷(きんざしょう)

〇筋損傷の特徴

 ・身体運動の加速期や、減速期に発生しやすい。

 ・強い遠心性収縮で発生しやすい。

 

筋損傷に加わる力

急性 一度の外力にて損傷が発生
Ex.直達外力、急激な過度の筋緊張や過伸張など。
亜急性 筋に繰り返しまたは継続して力が作用し発生する
(症状はある時点で突然現れる場合と、徐々に出現する場合がある。)
Ex.筋の要因:疲労、筋力低下

 

筋の損傷

筋損傷の分類

筋の性状による分類

外傷性筋損傷

正常な筋に外力が作用して発生

急性亜急性がある

亜急性→疲労性筋損傷(就業作業、スポーツ、不自然な姿勢etc…)
病的状態 Ex:進行性筋ジストロフィー多発性筋炎、シャルコー・マリー・ツース
進行性筋ジストロフィー 遺伝性・進行性の骨格筋の変性と筋脱力を主徴とする疾患
多発性筋炎 原発性の横紋筋の炎症性疾患で、近位筋群の筋痛を伴う対称性の筋力低下を特徴とする疾患
シャルコー・マリー・ツース 神経性進行性筋萎縮

 

筋損傷の程度による分類

第Ⅰ度

〇筋線維の断裂は認められない

筋細胞の破壊などがみられる
第Ⅱ度 部分断裂損傷(肉ばなれ)
※遠位に陥凹を認めるものは重症
第Ⅲ度

完全に断裂している(筋断裂)

〇肉ばなれを繰り返した後に起こる

 

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筋損傷の部位による分類

〇長軸での分類

1

起始部
2 筋腹部
3 筋腱移行部

 

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〇浅深(せんしん)での分類

1 筋膜
2 筋の浅層
3 筋の深層
4 他筋との付着部

 

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※筋ヘルニア

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〇筋間損傷と筋内損傷(バスBassの分類)

1 筋間損傷

筋線維束の間の結合組織の損傷

筋線維には損傷はないが、筋線維束の間に出血がある
2 筋内損傷

筋の部分断裂損傷

筋線維の間に出血を生じ、筋膜内に腫脹を生じる

 

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外力の働いた部位による分類

1 直達外力 打撲、 物体への接触、店頭、墜落など鈍性の外力による
2 介達外力 損傷部位に直接外力の作用はない。筋が過度に伸張されるか、過剰に負荷が加わることにより発生する。

 

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外力の働き方による分類

1 筋線維が過度に伸張されたとき(肉ばなれ)
2 筋へ圧迫力が作用したとき(打撲)
3 筋の急激な収縮に対し大きな負荷作用したとき(重量物の挙上)
4 筋へ反復荷重が作用したとき
5 持続的な筋緊張状態のとき
6 持続的な筋の伸張状態のとき
7 激しい運動のとき

 

筋損傷部と創部との交通の有無による分類

閉鎖性筋損傷

(皮下筋損傷)
筋損傷部と創部との交通がない
開放性筋損傷 筋損傷部と創部に交通がある

 

筋の損傷

筋損傷の症状

1 損傷部の運動時に不快感や違和感、疼痛
2 損傷箇所の圧痛
3 損傷箇所の陥凹
4 断裂端の腫瘤
5 腫脹
6 断裂時は筋収縮はみられない
7 皮下出血斑(時間の経過で損傷部より末梢に出現)
8 陳旧例:硬結、伸張度の低下、筋力低下etc…

 

筋の損傷

筋損傷の治癒機序

①炎症期

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②壊死組織…

②壊死組織貪食・血管新生

③衛星細胞活性化

 

炎症細胞の浸潤で壊死組織を貪食・血管新生

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④増殖期

④増殖期

⑤筋管細胞の形成

衛星細胞が融合し多核の筋管細胞が形成

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⑥新生筋線維に置換

⑥新生筋線維に置換

⑦成熟期

損傷部が新生筋線維で置換

神経再支配が起こる

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筋の損傷

筋損傷の予後

瘢痕組織による治癒

〇瘢痕組織が修復筋組織内に残存

〇収縮能力のある筋細胞と瘢痕組織との間で収縮能力に差が生じるため、十分な筋力が発揮できない。

〇再受傷の危険性が増す
骨化性筋炎

〇骨化により筋の中に弾力性の異なる部分ができる

〇負荷が加わると損傷しやすい状況になる

〇筋の機能と局所の運動性が相当に障害される

 

骨化性筋炎の補足

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参考・引用

文献・書籍

柔道整復学理論編改定第6版

②プロメテウス解剖学アトラス第2版解剖学総論/運動器

③標準整形外科学第13版

柔道整復師 イエロー・ノート 臨床編

⑤実践柔道整復学シリーズ 柔道整復学総論

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