柔道整復学理論
-国家試験対策-
-膝関節部の軟部組織損傷
膝関節靭帯損傷
十字靭帯損傷-

膝関節部の軟部組織損傷

十字靭帯損傷

◇膝関節靭帯損傷◇

a:前十字靭帯損傷

b:後十字靭帯損傷

周辺解剖①

〇十字靭帯損傷

記号 名称 付着部
前十字靭帯 脛骨前顆間区-大腿骨外側顆内側面
後十字靭帯 脛骨後顆間区-大腿骨内側顆外側面
靭帯の役割

脛骨の前方偏位

下腿内旋

脛骨の後方偏位

下腿内旋

 

※膝関節どの肢位でも十字靭帯は緊張している!

 

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発生機序・症状

〇十字靭帯損傷

  前十字靭帯 後十字靭帯
発生機序 非接触型

大腿四頭筋の自家筋力により脛骨が前方に引き出され損傷

※ジャンプの着地や急停止、方向転換
膝関節の過屈曲や過伸展
接触型

〇接触により、膝関節が外反・回旋が加わり発生

〇内側側副靭帯や他の靭帯の損傷を合併しやすい

※柔道・ラグビーなど

交通外傷(ダッシュボード損傷,オートバイ事故)

スポーツ活動中に脛骨を後方におされる外力により
症状

疼痛と膝の不安定感

〇受傷数時間後から関節血腫による膝の腫脹有り

〇腫脹増大による膝関節の屈曲が制限される

〇疼痛と膝の不安定感

〇運動時や立ち上がり時に膝後面に疼痛有り

 

検査・治療法

〇十字靭帯損傷 

  前十字靭帯 後十字靭帯
検査

前方引き出しテスト

(Anterior Drawer test)

後方押し込みテスト

(Posterior Drawer test)
ラックマンLachmannテスト 後方落ち込み徴候sagging sign
治療法 完全断裂 保存療法では癒合は望めない
断裂のままでは膝くずれの原因となる
※二次的に関節軟骨・半月板に損傷
活動レベルの高い人や患者のQOLを障害する場合は観血療法が望ましい
不全断裂

〇日常生活レベルで不安定感がなければ保存療法の適応

活動レベルの高い人や患者のQOLを障害する場合は観血療法が望ましい
運動療法を行う場合、屈曲運動から始め完全伸展運動はしばらく行わない。  

 

徒手検査-前方引き出しテスト(ADS)-

〇十字靭帯損傷

目的 前十字靭帯損傷の有無と部位の鑑別
意義

十字靭帯断裂の有無を確認する手技であり、前方に動揺性のあるものを前方引き出し陽性という

前十字靭帯断裂を意味する
実施法

患者背臥位、股関節45°、膝関節90°屈曲位として検者は殿部を足関節内・外転、内・外がえし中間位の前足部に乗せて固定する

脛骨中枢端を検者の両手でつかみ、静かに前方向に引き膝関節の動揺性を確認する。

 

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徒手検査-ラックマンテスト-

〇十字靭帯損傷

目的 前十字靭帯損傷の有無と部位の鑑別
意義 前方への不安定性であり、Drawer signと同様であるが、後十字靭帯の鑑別は不能である
実施法 検者の一方の手で背臥位した患者の大腿遠位端部を握り、他方の手で下腿近位端部を握り、膝関節を軽度屈曲位(10~30°)において、下腿後方より強い力を入れて、前方へ引き出しを行う操作を加えると、健側に比べて柔らかな抵抗感とともに前方引き出しが照明されるものを陽性と判断する。

 

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徒手検査-後方押し込みテスト(PDS)-

〇十字靭帯損傷

目的 後十字靭帯損傷の有無と部位の鑑別
意義

十字靭帯断裂の有無を確認する手技であり、後方に動揺性のあるものを後方引き出し陽性という

後十字靭帯断裂を意味する
実施法

患者背臥位、股関節45°、膝関節90°屈曲位として検者は殿部を足関節内・外転、内・外がえし中間位の前足部に乗せて固定する

脛骨中枢端を検者の両手でつかみ、静かに後方向に引き膝関節の動揺性を確認する。

 

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徒手検査-後方落ち込み徴候Sagging sign-

〇十字靭帯損傷

目的 後十字靭帯損傷の有無と部位の鑑別
意義

十字靭帯断裂の有無を確認する検査であり、健側と比較し、患側の脛骨が後方に落ち込んだものを陽性とする

後十字靭帯断裂を意味する
実施法

患者背臥位、健・患側とも股関節45°、膝関節45°屈曲位とする。

検者は健・患側の脛骨部分を比較し、患側の脛骨が後方へ落ち込んでいるかをみる。

 

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参考・引用

文献・書籍

柔道整復学理論編改定第6版

②プロメテウス解剖学アトラス第2版解剖学総論/運動器

③標準整形外科学第13版

柔道整復師 イエロー・ノート 臨床編

⑤実践柔道整復学シリーズ 柔道整復学総論

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